入川 枕が皆さんと漫画との縁を1つずつ丁寧に結ぼうとする「紙で読んでいる漫画」。
第9回は前屋 進さん作「メイドさんは食べるだけ」です。
書籍情報
出版社:講談社
レーベル:コミックDAYS
連載状況:2024年4月22日連載再開予定
単行本:全4巻
※新品の在庫が少ないようなので、今回は電子書籍や中古でのご案内を含みます。
「紙で読んでいる漫画」の企画概要はこちらの投稿をご覧ください。
休載が続いていた「メイドさんは食べるだけ」ですが、2024年4月22日に連載が再開されることが作者さんのX(旧Twitter)で発表されました。
私も近い将来に待っているであろう5巻の発売が楽しみで仕方ありません。
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3つでサクッと!推しポイント
オノマトペの丁寧さに注目!お散歩の速度で展開するメイドさんの物語
オノマトペの添え方が丁寧で、読み進める手がほどよく緩んでいきます。
作中に登場するお気に入りのオノマトペを2つご紹介します。
ガチャ
ンバコ
バタン
「メイドさんは食べるだけ」1巻#4 コンビニおにぎり
1つ目はアパートの扉を閉める音。
主人公の橘スズメが住んでいるのは小さなアパート。
雨ざらしで鉄骨が剥き出しの階段、畳張りの床…「ンバコ」1つで安っぽさが伝わる秀逸なオノマトペです。
ぼっ(ビニール傘を開く音)
ばた でてっ(ビニール傘に大きな雨粒が落ちる音)
「メイドさんは食べるだけ」2巻#18 レモネード
2つ目は雨にまつわる音。
買い物帰りに雨が降ってきてしまい、出先で買ったビニール傘をさす場面。
急ぎ足で帰ってしまいそうな状況でも、スズメは目の前の1つ1つを両手で拾って味わいます。
イヤホンを外して、ゆっくり歩きたくなりますよ。
橘スズメの抑揚ある所作から目が離せない
スズメは「メイドスイッチ」のオンとオフで、印象がガラリと変わります。
美味しい物を目の前にしたスズメは幼子のように無邪気で食欲旺盛。
嬉しそうに頬を膨らませ、感動が最高潮に達するとボディランゲージにも拍車がかかります。
周りの人たちもスズメの言動に表情筋が緩むようで、みんなスズメを甘やかしがち。
懐にスッと入ってしまうスズメの素直さが伝播するのかもしれませんね。
あまりに彼女の所作がきれいなので
自分の背筋もピンと伸び まるで
ここがお屋敷のような錯覚に陥ります
「メイドさんは食べるだけ」2巻#10 総菜
惣菜屋さんでの一幕、スズメが財布からお金を取り出す所作を見て、店員さんが錯覚に陥ります。
食べる時以外はメイドスイッチがオンになることが多いようで、言動の端々に隠しきれない「メイド力」が感じられます。
一挙手一投足が魅力的なスズメの日常を見てるだけ、それだけで満たされる漫画、心にしみますよ。
読んでいるとお腹が空いてくる?食欲を刺激される食べ物の描き込み
「食べるだけ」と題するだけあって、食欲を刺激される食べ物の描きこみも必見です。
ごはんが粒立ち、かき氷は木陰のように涼しげで、焼き芋は漫画を持つ手へ温度が伝わるほどにほっくほく…ごはん前に読むことは推奨できません。
スズメの百面相も相まって、余計にお腹が空いてきます。
アパート暮らしのメイドさんが織りなす目に美味しいごはんのあれこれ
メイドさんが誰かに仕えるわけではなく、アパートでひとり暮らし、不思議な感じがしますよね。
なぜひとり暮らしをしているのか、普段もメイド服を着ている理由は?
食にまつわる雑学も散りばめられているので、楽しみながら学べますよ。
ぜひ作品を手にとってお確かめください。
いよいよ次回は第10回、節目に取り上げる作品を吟味しています。
お楽しみに!
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