紙で読んでいる漫画Vol.4「ふたりエスケープ」

紙で読んでいる漫画

入川 枕が皆さんと漫画との縁を1つずつ丁寧に結ぼうとする本企画。

第4回は田口囁一しょういちさん作「ふたりエスケープ」です。

「ひとり」のWebライター、入川 枕が「ふたり」の漫画をご紹介。


左:先輩 右:後輩

書籍情報

出版社:一迅社

レーベル:コミック百合姫

連載状況:完結

単行本:全4巻

「紙で読んでいる漫画」の企画概要はこちらの投稿をご覧ください。

この記事を書いた人

入川 枕

入川 枕(いりかわ まくら)
福島県 生まれ/岐阜県 育ち
名古屋外国語大学 外国語学部 日本語学科 卒業
WEBライター検定3級

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3つでサクッと!推しポイント

1.実行可能なエスケープ満載!

2人は同じ高校の先輩と後輩。

後輩は〆切に追われる漫画家。

先輩はかわいいだけが取り柄の無職。(後輩談)

物語は、先輩と後輩があらゆる状況から「ふたり」で「エスケープ」する(=逃れる)ことが大筋となっています。

多くの場合、後輩が〆切からエスケープしたがる訳ですが、それを叶えてしまうのが、一緒に住んでいる先輩です。

現実逃避のプロ、先輩。(後輩談)

先輩は、ちょろい後輩を言いくるめて、〆切からエスケープさせます。

後輩を労ってか、自分の欲求を満たすためか、真意は微妙なところです。

ふだん使っている路線の終点まで行ってみたり、クッキングトイで自宅をフードコートにしたり、エア猫を飼ったり…。

気になるものがあれば、自己責任で実践してみてください。

思わぬ活路を見出せるかも知れません。


2人がくつろいでいるのは、マンションの踊り場?

2.脱力を誘う台詞の数々

「ふたりエスケープ」は主に先輩と後輩しか登場しません。

他に登場するのは、漫画家である後輩の担当さんくらい…。

紙で読んでいる漫画Vol.2で紹介した「フードコートで、また明日。」も登場するのは、2人の女子高生だけでしたね。

女子高生2人の掛け合いは、どうでもよさが話題の切り替えに拍車をかける代物でした。

一方、漫画家と無職のやり取りはというと…読者の活力をじわじわと吸っていきます

枕のお気に入りを引用にてご紹介。

先輩「悠久の時を想えば私の一生なんて…」

後輩「泣いてる――――!!」

先輩(一生懸命生きているだけで尊いんや……)

後輩「ダメだこいつエモがバカになっている…」

「ふたりエスケープ」1巻 その6 ジュラシック・エスケープ 田口囁一

後輩「先輩キャンプとかしたことあります?」

先輩「あるよ バス停のベンチとかで」

後輩「野宿

先輩「キャンプってつまりオシャレ野宿だろ?」

後輩「キャンパーに助走つけて殴られますよ」

「ふたりエスケープ」2巻 その14 締め出しエスケープ 田口囁一

ふふっ、と思わず笑ってしまうパワーワードが脱力を誘います。

台詞とは異なりますが、2人のネーミングセンスも必見です。


寒空の下、片手に酒、2人はどこへ行くのやら…

3.変わらない関係性

表紙のイラストからも仲の良さが伺える2人ですが…1つ、枕の驚いた事があります。

先輩と後輩、一度も本名が登場しません

「先輩」だったり、「お前」だったり…。

後輩に関しては「忘れているのでは?」と思わせる描写までありました。

親しい友人をあだ名で呼び続けて「あれ、本名なんだっけ?」となるアレでしょうか?

また、枕の感想の範疇はんちゅうではありますが、2人は恋仲という訳でもなさそうです。

夫婦のように近過ぎず、単純な先輩後輩に収めるほど遠過ぎず、進展も破綻もしない。

いつまでも続くような2人の雰囲気が、読者に安心感を抱かせます。


最終巻!表紙はいつ頃の2人でしょうか?

まとめ

いかがでしたか?

「ふたりエスケープ」は、ほとんどのお話が1話読み切りの構成です。

すきま時間の「ちょこちょこ読み」にもピッタリです。

エスケープを実行される方、レポをお待ちしています。

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