トレンドも世の動向も全く関係なく、入川 枕が皆さんと漫画との縁を勝手に結ぶ本企画。
記念すべき第1回は、オニグンソウさん作「もののがたり」です。
後:岐 兵馬(くなと ひょうま)前:長月 ぼたん |
書籍情報
出版社:集英社
レーベル:ヤングジャンプコミックス
連載状況:完結
単行本:全16巻
「紙で読んでいる漫画」の企画概要はこちらの投稿をご覧ください。
この記事を書いた人
3つでサクッと!推しポイント
1.京都という舞台設定の「さり気なさ」
付喪神が跋扈する現代の京都が物語の舞台。
現世と常世のバランサー塞眼、岐 兵馬は塞眼御三家の1つ、岐家の次期当主です。
ひょんな理由から長月 ぼたんが付喪神と生活する屋敷に居候を始めることになります。
物語の序盤は2人と一緒に暮らす付喪神たちとの「関係構築」のパートです。
塞眼のお務めで、日常生活で、互いを知っていきます。
営まれる生活の背景は確かに「京都」ではあるのですが、名称としては殆ど登場しません。
名称が登場するのは京都駅ぐらい…。
左:薙(なぎ) 右:結(ゆう) |
左:硯(すずり) 右:鏡(かがみ) |
後:匣(くしげ) 前:羽織(はおり) |
2巻~4巻の表紙をビシッとスーツで飾る6名は長月 ぼたんと暮らす付喪神たちです。
器にまつわる個人名と別に「婚礼調度」という総称も有している彼ら。
枕は京都=和服と安易に連想しがちですが、メインの2人を含め、そんな素振りはありません。
それぞれの生活に溶け込んだ「さり気ない」京都が物語全体のイメージを趣あるものにします。
2.武器の特異性とシャープな戦闘描写
兵馬が手にしている丸いものが何か分かりますでしょうか?
…実は「引手」なんです。
襖の金具で戦う、枕も数多の作品を読んできましたが、初めて見ました。
付喪神たちは器に因んだ能力や武器を使います。
薙が分かりやすい例ですね。
彼は刀の付喪神なので、刀を武器とします。
一方、他の面々は武器の付喪神という訳ではありません。
では、その戦闘スタイルはいかに…?
武器ではないもので戦闘を成立させる意外さは一見の価値ありです。
武器の特異性を更に輝かせるのが、オニグンソウさんのシャープな戦闘描写。
筆で描くようにしなやかに曲がり、墨壺で弾くように真っ直ぐ駆ける線は戦場に張り詰める緊張感をヒシヒシと両手に伝えます。
3.準備体操を終えてからの加速力
関係構築のパートが終了すると、物語は一気に加速します。
優勢劣勢、敵味方が激しく変わり、ひっくり返り、それでも一直線に紡がれるのは、ものに縁ある兵馬とぼたんの恋の物語。
ここに婚礼調度、とくれば物語の大筋が見えてくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
波乱万丈の真っ只中を2人が如何にして歩み通すのか、ぜひ見届けてください。
枕が考えるターニングポイントはあるのですが、ここで書いてしまうとネタバレ…。
実際に作品をお手に取って頂けたら嬉しいです。
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まとめ
いかがでしたか?
「もののがたり」とは地元の小さな本屋さんで出会いました。
作品と出会い、続きを楽しみに待ち、後ろ髪を引かれながらも結末を見届ける、これも一つの縁なのでしょう。
結末を見届けた枕は、東京に出てきて、書くことを生活の中心に置いている…。
最後の巻を本棚に納めて、全ての巻が揃う時「物語と共に自分も歩んできた」と振り返る。
少し大げさに聞こえるかも知れませんが、清々しい思いにはなるのです。
大好きな作品に少しでも興味を持って頂けたら、もの書き冥利に尽きます。
今後も、紙で読んでいる漫画をマイペースでご紹介しますのでお楽しみに。
ではまた。
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